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2017年8月10日 (木)

7月18日おてんば天狗と絶叫系に挑む

こ、今回は油断しただけだもん!それにあんなことになるなんて聞いたことないよ?和尊さんには先に言ってほしかった!

和尊は夏月に烈火のごとく怒られていた。さっきまでぐったりしていた夏月だったが、流石に妖怪なのですぐに完全回復して、このように怒ることができるまで時間はかからなかった。

だから一番すごい絶叫系だって言っただろ。それに全然平気だって言ってたからあまり気にはしなかったんだよ。烏天狗は高い所は慣れているはずだしさ

それとこれとは話が別だよ!あ〜怖かった

二人は次に遠心力がヤバいほどかかるアトラクションに来ていた。ここならさっきよりもフラフラにならずに済むはず。

和尊さん。さっきあれほどまでひどい状態だったのは目が回ったの以外にも理由があるんだ

ん?

それはたった一人で初めて乗る絶叫系がどんだけ心細いかって言うことだよ?

和尊は言いたいことは分かったがどうしようもないことを改めて説明する。

うんうん、分かってるって。だけどさ

夏月は恐る恐る和尊の手を握ってギュッと力を込めた。

次からのアトラクションは隣で、ね?

夏月は上目遣いでこちらをのぞき込んでくる。和尊はそんな夏月の表情を初めてみたがこんな顔もできるのかと内心ぐらついた。

あ、ああ。さっきのことはすまなかったな

ううん、だって乗りたかったのは私だし、誰にも文句は言えないもんね。じゃあ、乗ろっ

円状に配置された座席に座って二人は身体をしっかりと固定させてスタートを待つと足場が落ちて全員が宙づりのような状態になる。これだけでも十分怖いのにこれから左右に思いっきり揺さぶられるのだ。

イエーイ!風が気持ちいいよーっ!

和尊の横で早くも夏月は満喫している。さっきまでの表情とは打って変わってこのアトラクションが逆に栄養になっているようにも見えた。和尊も以前、これには乗ったことはあるのでそのときよりもずっと楽しむことができた。

うーん。やっぱり風を感じるのはいいよね。和尊さんはそう思わない?

風を感じることに関しては同意見だったし何よりも夏月が喜んでたのが和尊にとって嬉しかった。

自然と笑顔になったよ。普段はこんな経験はなかなかできないから

経験したいならさせてあげる。それも碧水湖上空からスカイダイビングっぽくするの。無茶苦茶高い所まで私が運んで落とすんだ。そして湖面ギリギリでキャッチ!。小さい頃は大天狗様にねだって山の上から落としてもらってたんだけど、最近は私がやる側になって小さい天狗にしてたよ。強烈な風が楽しいって結構好評だった

和尊は夏月が四州時代に相当遊びまくっているのを思い出した。

な、なあ。それって失敗したことはないのか?

ううん、全然ないよ。この天下の夏月ちゃんが失敗することなんてありえないって。遊びにかけては全力で取り組むことが私のモットーだし。だからこの前は誰もやりたくなさそうな牛の被り物を率先して被って牛の鳴きまねまでやったんだよ。やるときはやるってわかってくれたでしょ?

自慢げに話す夏月。穂美や紫音に隠れてはいるものの夏月も相当なやんちゃをする。最近は仕事に精を出しているせいか枠を外れるようなことはやらなくなったがそれでも本心はなかなか制御できるものではないようだ。

最近は妖怪の垣根がなくなって烏天狗だけじゃなくてもスカイダイビングはいろいろな種族のやつを落としてたな〜。みんな満足してたから私もそれで結構自信がついたもん。今度やってあげるね。和尊さんだったら私何回でもトライさせてあげる

和尊はテーマパークとスカイダイビングは全くの別物としか思えなかったが今の夏月の気持ちを無碍にしたくないのでそのうちということにして話をはぐらかした。次に乗るのは上り下りが激しいジェットコースターにして列に並ぶ。十時を回ってどんどんお客が入って平日にもかかわらずかなりの混みようだ。

すごい人だね。押し合いへし合いばっかりでイライラしないの?

こういう時はみんなしっかりと並ぶんだ

私なら無理矢理割り込むかななんちゃって、嘘嘘!

やんちゃな夏月は下をペロッと出す。気持ちは十分わかるがこれも覚悟でやってきているのだ。順番待ちも頭に入れてある。

今度はどんな感じなんだろうねあれ、何かアナウンスしてるよ?

夏月がそう言って耳をそばだてていると若い女の人の声が城内に設けられたスピーカーから流れてきた。
先日不具合のため、点検しておりましたアトラクションの点検が終わりましたのでただ今から運転を再開いたします

ドドドドドドドドド

その声が終わるか終わらないうちに猛ダッシュでそのアトラクションの方へ人が殺到する。

和尊さん、和尊さん!私たちも行こっ!こんなラッキーなことなんか本当にないって!急がないとまた順番を待たないといけないよ!

和尊はすぐさま順番待ちを止めてたった今再開されたアトラクションへ後ろに並んでいた人を無理やりかき分けて脱兎のごとく走りはじめる。和その後を涼しい顔で夏月がスイーッと付いていった。
ふーっ、ふーっ、何とかいい位置を確保できたな

お疲れ〜。久しぶりいい運動になったんじゃない?夏月ちゃんも久しぶりにちょこっとだけスピードを出しちゃったよ

その割には普通に笑顔を見せているので、全然本気を出していないのがよくわかった。

それにしても本当に人気なんだね〜。いつ対何がここまで引き付けるのかな?

ぷはっ、ここのジェットコースターのいちばんの売りは最大加速にあるんだ

その加速と言う言葉に夏月は素早く反応した。

加速?もしかして私よりも早いの?

夏月ちゃんがどのくらいのスピードを出せるのかは俺が知らないから何とも言えないけど。確かこのジェットコースターは改良されて時速180キロくらい出せたはずだ

それってジェット機よりも早いのかな?私、この前良州から帰るときに気まぐれで競走したんだけどいい勝負だったよ?

流石にジェット機と比べたらと和尊は苦笑いをして首を横に振る。

なーんだ、残念ね。和尊さんがそこまで言うんだったら相当早いのかと思った

夏月ちゃんは瞬間的に出るスピードって考えたことはあるか?

ないと思う。それがどうかしたの?

ここで十分味わえるから楽しみにしておけ

夏月はよくわからない顔をしながら大人しく列に並んだ。40分程待った後、夏月は大あくびをして目を擦りながらコースターに乗り込む。それとは対照的に和尊はこのアトラクションのすごさを知っているから神妙な顔をしていた。動き始めると発射レーンにセッティングされるまでノロノロと進んでいく。

和尊さん、いったいどうなるの〜?

暢気な声で夏月が聞いてくる。

話をしていると舌を噛むかもしれないぞ

和尊は忠告するが夏月はそれを聞かずに話を続ける。

平気だって。私の最高速よりも遅いんでしょ?そんなちんたらした速度だったら舌を噛むことなんて烏天狗にとってほとんどないもん。そんなことをするのはよほど抜けている子しかいないはずだよ?

夏月は周辺の光の点滅が次第に早くなっていることに全く気が付かず話を続ける。

普通の烏天狗だって200キロは普通に出せる。和尊さんは人間だから相当早く感じるかもしれないね

ニヤニヤしながら夏月はこっちを向くが、和尊の表情は既に凝り固まっている。

ありゃー、もう耳に入ってこないみたいだね〜。私は最後まで平然とした表情になれるのにさ

そろそろ口を閉じておかないとヤバいぞ

和尊は口をなるべく動かさないように言う。

だから大丈夫だって。この私に限ってそんな


その後の言葉は強風に遮られて全く聞き取れなかった。

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